賃貸不動産経営管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問6 (賃貸借 問6)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

賃貸不動産経営管理士試験 令和7年度(2025年) 問6(賃貸借 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

建物賃貸借契約が賃借人の賃料不払を理由に解除され終了する場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 賃貸人が賃借人の賃料不払を理由に賃貸借契約を解除する場合、賃借人の帰責事由は解除権行使の要件にならない。
  • 解除の意思表示が賃借人に到達したといえるためには、賃借人の了知可能な状態に置かれるだけでは足りず、賃借人が直接通知を受領することが必要となる。
  • 建物賃貸借契約において家賃債務保証業者が賃借人の債務の保証人となる場合に、当該業者が賃料の代位弁済をしていれば、賃借人の債務不履行は否定される。
  • 賃貸借契約書において、賃借人が支払を怠った賃料の合計額が3か月分以上に達したときは賃借人の債務の保証人である家賃債務保証業者が賃貸借契約を無催告にて解除できる旨の条項は、賃借人が同意して締結した契約書の内容である以上、有効である。

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

本問は、建物賃貸借契約が賃料不払いで解除される場合に関する問題です。

契約解除の要件や意思表示の到達の考え方を中心に、家賃債務保証業者が関わる場合のルールもあわせて整理していきましょう。


 

選択肢1. 賃貸人が賃借人の賃料不払を理由に賃貸借契約を解除する場合、賃借人の帰責事由は解除権行使の要件にならない。

正しい

この選択肢が言っていることは、

貸主が借主の家賃滞納を理由に契約を解除する場合、借主の側に落ち度(わざとや不注意など)があったかどうかは、解除するための条件にはならないと言っています。

【ここがポイント】

見るべきポイントは、「賃借人の帰責事由は解除権行使の要件にならない」としている部分です。

【解説】

契約を解除するための法律(民法)のルールでは、借主に落ち度(帰責事由)がなくても、約束通りの支払いがされていなければ、貸主は契約を解除することができます。解除ができないのは、支払いが行われない原因が「貸主の側」にある場合のみです。借主に落ち度があるかどうかは解除の条件にはならないため、この記述は正しいです。

【覚えておきたいポイント】

・契約解除には借主の落ち度(帰責事由)は必要ない

・貸主に落ち度がある場合は解除できない


 

選択肢2. 解除の意思表示が賃借人に到達したといえるためには、賃借人の了知可能な状態に置かれるだけでは足りず、賃借人が直接通知を受領することが必要となる。

誤り

この選択肢が言っていることは、

貸主からの「契約を解除します」という通知が借主に届いたと認められるためには、郵便受けに入れられるなど借主が見ようと思えば見られる状態になるだけではダメで、借主本人が直接受け取らなければならないという場面です。

【ここがポイント】

見るべきポイントは、「了知可能な状態に置かれるだけでは足りず」「直接通知を受領することが必要となる」としている部分です。

【解説】

意思表示(解除の通知など)は、相手方に「到達」した時から効力を生じます。この「到達」とは、相手方がその通知を直接受け取って読むことまで必要ではなく、郵便受けに投函されるなど、相手方が見ようと思えばいつでも見られる状態(了知可能な状態)に置かれればよいとされています。直接受け取ることまでは必要とされないため、この記述は誤りです。

【覚えておきたいポイント】

・意思表示は相手方に到達した時から効力を生じる

・到達とは「見ようと思えば見られる状態」になることであり、直接の受領は必要ない


 

選択肢3. 建物賃貸借契約において家賃債務保証業者が賃借人の債務の保証人となる場合に、当該業者が賃料の代位弁済をしていれば、賃借人の債務不履行は否定される。

誤り

この選択肢が言っていることは、

家賃保証会社が借主の連帯保証人になっている場合で、借主が家賃を滞納して保証会社が代わりに家賃を支払った(代位弁済した)のであれば、借主の家賃滞納という契約違反(債務不履行)はなかったことになると言っています。

【ここがポイント】

見るべきポイントは、「当該業者が賃料の代位弁済をしていれば「債務不履行は否定される」としている部分です。

【解説】

借主が家賃を滞納し、保証会社が代わりに家賃を支払ったとしても、貸主にお金が入ったというだけで、借主本人が家賃を支払わなかったという事実(債務不履行)が消えるわけではありません。貸主と借主の間の信頼関係が壊れていると判断されれば、貸主は賃貸借契約を解除することができます。保証会社が代わりに支払ったとしても借主の債務不履行は否定されないため、この記述は誤りです。

【覚えておきたいポイント】

・保証会社が代わりに家賃を払っても借主の債務不履行はなくならない

・信頼関係が破壊されていれば貸主は契約を解除できる


 

選択肢4. 賃貸借契約書において、賃借人が支払を怠った賃料の合計額が3か月分以上に達したときは賃借人の債務の保証人である家賃債務保証業者が賃貸借契約を無催告にて解除できる旨の条項は、賃借人が同意して締結した契約書の内容である以上、有効である。

誤り

この選択肢が言っていることは、

賃貸借契約書の中に、「借主の家賃滞納が3か月分以上になったら、保証会社が借主に事前の通知(催告)なしで勝手に契約を解除できる」という特約があった場合、借主が納得してサインしている以上、その特約は有効であると言っています。

【ここがポイント】

見るべきポイントは、「家賃債務保証業者が賃貸借契約を無催告にて解除できる旨の条項は」「有効である」としている部分です。

【解説】

保証会社が借主の意思にかかわらず一方的に賃貸借契約を解除できるという特約は、借主の権利を著しく制限し、借主にとって一方的に不利な内容です。このような条項は、たとえ借主が同意して契約書にサインしていたとしても、消費者契約法などのルールに違反するため無効とされます(最高裁判所の判例でも無効とされています)。同意があってもこのような条項は無効となるため、有効であるとするこの記述は誤りです。

【覚えておきたいポイント】

・保証会社が一方的に無催告で解除できる特約は無効となる

・借主の権利を著しく害する条項は同意があっても法的に認められない


 

まとめ

本問では、賃貸借契約の解除に関する法律のルールが重要なポイントです。

・解除に借主の落ち度は必要ない・通知は相手が見られる状態になれば到達したとみなされる・保証会社が立て替えても借主の契約違反は帳消しにならない・借主に著しく不利な解除特約は無効になる

このように、契約解除が認められるための条件や、借主を保護するためのルールを正しく理解しておくことが大切です。

 

 

【参考・参照文献】

・e-Gov法令検索(デジタル庁)『民法』第97条

・e-Gov法令検索(デジタル庁)『民法』第541条

・e-Gov法令検索(デジタル庁)『民法』第543条

・e-Gov法令検索(デジタル庁)『消費者契約法』第10条


 

参考になった数2

02

本問は、賃料不払による建物賃貸借契約の解除に関する基本論点(解除要件・意思表示の到達・保証人の関係・特約の有効性)を問うものです。特に重要なのは、判例が重視する信頼関係破壊の法理と、民法上の意思表示の到達の考え方です。

選択肢1. 賃貸人が賃借人の賃料不払を理由に賃貸借契約を解除する場合、賃借人の帰責事由は解除権行使の要件にならない。

正しい:賃料不払による解除は、賃料の支払義務という債務不履行があれば足ります。この場合、賃借人に帰責事由(故意・過失)があることまでは要件とされません
 

選択肢2. 解除の意思表示が賃借人に到達したといえるためには、賃借人の了知可能な状態に置かれるだけでは足りず、賃借人が直接通知を受領することが必要となる。

誤り:民法上の原則は、相手方の「了知可能な状態」に置かれれば到達です。郵便受けに届いた通常読める状態で足り、実際に読む必要はありません。

選択肢3. 建物賃貸借契約において家賃債務保証業者が賃借人の債務の保証人となる場合に、当該業者が賃料の代位弁済をしていれば、賃借人の債務不履行は否定される。

誤り:代位弁済があっても、もともとの不払いという事実(債務不履行)は消えません。保証会社は賃借人に求償できる立場になるだけです。

選択肢4. 賃貸借契約書において、賃借人が支払を怠った賃料の合計額が3か月分以上に達したときは賃借人の債務の保証人である家賃債務保証業者が賃貸借契約を無催告にて解除できる旨の条項は、賃借人が同意して締結した契約書の内容である以上、有効である。

誤り:建物賃貸借では、解除は信頼関係破壊の有無で判断される強行的なルールがあります。

したがって、「3か月滞納で無条件解除」などの特約でも機械的に解除できるわけではありません。(無効・制限される)さらに、保証会社が解除権を持つこと自体にも制限があると考えられています。

まとめ

意思表示は、到達=了知可能でOKです。(実際に読む必要なし)代位弁済しても、債務不履行は消えません。無催告解除などの特約は、信頼関係破壊の法理により制限されます。よって正解は1となります。

参考になった数1

03

本問は、賃貸借契約の解除に関する問題です。実務でも重要な箇所なので法的なポイントを整理しましょう。

選択肢1. 賃貸人が賃借人の賃料不払を理由に賃貸借契約を解除する場合、賃借人の帰責事由は解除権行使の要件にならない。

【正】

賃借人が賃料を支払わない場合において、賃貸人が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。【民法541条】

賃貸人が賃借人の賃料不払を理由に賃貸借契約を解除する場合、賃料不払の理由がどのようなものでも、支払われていないという事実があれば、解除権を行使できるということです。 

選択肢2. 解除の意思表示が賃借人に到達したといえるためには、賃借人の了知可能な状態に置かれるだけでは足りず、賃借人が直接通知を受領することが必要となる。

【誤】

賃借人の賃料不払を理由に解除権を行使するには意思表示を行います。【民法第540条第1項】

意思表示は、相手に到達した時から効力を生じます。【民法第97条1項】

 

到達とは、了知可能な状態に置かれたことです。その者の勢力範囲内のおかれることをもって足りるとされています。(最判昭36.4.20)

例えば、ポストへ投函する場合も到達されたとみなされます。

実務では、賃貸人から賃借人への通知は送付事実を公的に証明できる内容証明郵便で行われることが多いです。 

選択肢3. 建物賃貸借契約において家賃債務保証業者が賃借人の債務の保証人となる場合に、当該業者が賃料の代位弁済をしていれば、賃借人の債務不履行は否定される。

【誤】

保証会社が行う代位弁済は、保証会社が賃借人に代わって賃貸人へ賃料を支払うだけのもので、これによって賃借人の債務が消滅するわけではありません。

選択肢4. 賃貸借契約書において、賃借人が支払を怠った賃料の合計額が3か月分以上に達したときは賃借人の債務の保証人である家賃債務保証業者が賃貸借契約を無催告にて解除できる旨の条項は、賃借人が同意して締結した契約書の内容である以上、有効である。

【誤】

原則として、無催告解除は認められません。 

 

一回でも賃料を滞納すれば直ちに解除できるといった無催告解除の特約があっても、直ちに解除できず、賃貸人と賃借人との間に信頼関係が破壊されたと認められる特段の事情が必要です。 

特約がある=即解除ではありません。


無催告解除が認められるケース【民法542条】

・履行不能

・履行拒絶

・期限の経過

・催告が無意味

 

本問の、賃借人が賃料の支払を3ヶ月怠った場合、無催告解除が認められるケースに該当せず、催告(信頼関係の破壊)が必要です。

 

まとめ

賃貸借契約の解除については、原則として無催告解除が認められない点を理解し、解除に必要な要件を整理しておきましょう。 

参考になった数1